前回書いた記事で使っているツールや、参考にしている本をご紹介しました。
先日ロックミシンを買いまして、ニットソーイングに挑戦したのでその話を書いていきます。
今回も洋裁CADを使用して型紙を作成しております。ありがとうございます。
ニット用の型紙の作成
布帛の型紙とニット用の型紙は違うとのことで、いろいろ調べましたが、原形からの作り方を調べていくと「おとなしく型紙を買え」とか「原形から作るのはむずかしい」とかそういうことばかり出てきます。
なにやら、布帛の型紙でニットを縫うとブカブカになるらしい。
ニット生地は生地それぞれ伸び方が違うので、それぞれの生地の伸び率に合わせて型紙を変えていく必要があるとのこと。
原形からニットの伸び率も考えて製図するというやり方はあまり推奨されていないようです。
しかしそうはいっても、私には立体裁断の知識はありませんし、トルソーを買う余裕もありませんので、なんとか原形から作りました!ええ、作りましたとも。
参考にした本はこちら!
「文化ファッション大系 服飾造形応用編2 特殊素材」です。
こちらの本(というか教科書?)は子供服版も持っていて、文化式の原形からのパターンの作り方が載っています。
載っているのはニット素材のほかに、皮・毛皮です。ニットは後ろの3分の1くらいだけで女性物のみです。ニットのために買う方はそちらを踏まえてご検討ください。
型紙作成実践①
まず、手元にあったリブっぽいボーダー生地があったので、よく見かける?体のラインにピッタリしたメロウ加工の服を作ってみました。
こんな感じのやつです。こういうの好きです。
で、作るのは子供の服なのでこのサイトのサイズ目安にも載せている100サイズ原形で製図。
上記の教科書を参考にしつつ原形のラインに沿うような形で製図しました。
画面上はこんな感じです。(洋裁CADの練習ページはみたけど割と勘で使っています…)
試作①
できたのがこれです。うーん、襟ぐりの広がりがちょっと心配な仕上がり。
袖と裾はやってみたかった屏風だたみ縫いで。(屏風みたいに折って縫うと別布をつけたみたいな仕上がりに!)
早速着てもらうと、おやおやブッカブカではありませんか!
これが布帛の型紙を使ってニットを縫うとブカブカになるってことか…という感じ。
(そういえば身幅は原形通りですが、後身頃のダーツを無視していました。そりゃブカブカになるわ…でも教科書の原形移動通りに動かしたし、前身頃は原形通りでこの状態)
袖も身幅も襟ぐりも、あらゆるところがブカブカです。
特にこの襟ぐり、巻きロックでフリフリにしたので余計にブカブカです…。
ゆったりめのトレーナーとかならこれくらいでもよさそうな感じでしょうか?それでもでかい?
試作①からの学び
・襟ぐりは縮める必要がある
これは後から気づきましたが、通常のニット服って襟ぐりにリブ生地がついていて、そのリブ生地は襟ぐり長さより短くなっているんですよね。つまりニット生地の服は、最終的な襟ぐりの出来上がりが身頃の出来上がり線より縮んでいる!ということ。
その点を考慮して襟ぐりをあらかじめ縮めておく必要がありそうです。
あと前があきすぎるとフリルがたるんで中が見えちゃう気がするのでそこも直します。
・袖も細身に
布帛で袖を作る場合は、腕が通るように余裕をもって作りますが、ニット生地をぴったり目にしたいとなるとギリギリまで小さく(なんなら腕より細くなるように)作らないとぴったりしないんですね。
考えたらそりゃ当たり前なんですが…。
・身幅も狭める
今回はぴったりしたシルエットにしたいので、身幅も縮めなければいけません。
原形のダーツを無視して作ったこともありブッカブカなので着てもらった状態でどれくらい縮めるか決めました。
・脇位置もあげる
布帛でも着られるようにゆとりのある脇位置になっている原形…そのまま作ったので脇もなんだかブカブカでたるんでいる印象。ここもあげて直します。
型紙作成実践②
試作①からの学びを踏まえて変更した点は
・実際に着用する子供の原形を用意(ぴったりサイズを作るならまずこれ必須でしたね…
・襟ぐりラインのカーブ修正(ちょっとVっぽくなる程度
・前中心と脇下ライン両方から少し身幅を詰める
・裾の長さも変更
・袖の長さも変更
・袖口の長さも変更(パツパツだと着心地わるそうなので子供の腕の一番太い部分にあわせました。
・脇位置も上に変更
上記を踏まえてこんな感じに。横の長方形は無視してください…。
(市販の服を見ると脇ラインがカーブして身幅を縮めているものが多いのかも)
試作②
試作2号はこちら。だいぶ袖が細身になっていい感じの予感です。
(余談ですが約1時間で縫い終わりました。ロックミシンすごい…)
見てください。こんなに縮めました。
(同じ服が2枚になっても面白くないので全部巻きロックに仕様変更しています)
身幅は子どものお腹の出っ張りの一番太いラインに合わせました。袖と一緒で、きつくなったら着づらいと思い。(女性用であればウエストラインに合わせてカーブをいれるときれいになると思いますが、子どもなので直線にしています)
腕もすっきりシルエット!脇もだいぶ上にあげました。(脇のたるみはカーブ付けたら解決しそう)
あと大事な襟ぐり。前中心から縮めた&襟ぐりラインも開きを減らしたので襟ぐりラインが短くなりブカブカしなくなりました。
実際に着てもらうと!なんともいい感じではありませんか!若干襟ぐりを詰め過ぎた気もしますがこれから寒くなるしヘーキヘーキ!
でもぴったりシルエット過ぎてこのまま着るのはイマイチな気も…(子どもってお腹出っ張ってるからね…)上にジャンパースカートと合わせるといい感じに可愛くなるのではと思います。
(本人は巻きロックの部分が腕に当たるのが気に食わないようでしたのでおとなしく屏風だたみか裾まつりにすればよかったです)
今回は横に伸びる生地だったので襟ぐりをだいぶ狭めましたが余裕で着脱できました。布帛だとどうやって頭を通すかで悩むところですが、ニット生地ってすごい。
ニット用型紙を原形から作れた!
というわけでニット用の型紙を原形から作成することに成功しました。(修正点は着用して測ってるから出来たといっていいのかわかりませんが、でも服は完成した)
「ニット用の型紙を作るなら試作して直してを繰り返せ」と検索でもみかけましたが、今回のようなぴったりシルエットの場合は原形からそのままぴったりにするのは至難の業のようです。
原形ばかりを頼らず、必要なラインを細かく採寸して作れば1発でできそうな気もします。
ニット用の型紙を原形から作るは難しいというのを実感しましたが、作れないこともないなと思いました。
これはもうたくさん作って「だいたいこんな感じ」の感覚をつかむしかなさそうです。
生地の紹介
今回使用した生地は、手芸ナカムラ屋さんのニット生地です。
もう同じものは売り切れてしまったようですが、手芸ナカムラさんは訳あり?の手芸用品や生地を格安で販売しているので、ぜひのぞいてみてください。
今回使ったニット生地、2着作りましたがあと1着は余裕で作れそうです。価格はなんと約600円…!安い…安すぎる…。
そういえば巻きロックに使用しているウーリー糸も同じお店のもので300円でした!安い…。
おわりに
初めてのニットソーイングだったのでうまくいくか心配でしたが、何事も挑戦してみないとわからないということでとりあえずやってみました。
原形に合わせて作ったときとぴったりに作ったときのデータがあれば、今後何かを作るときに役立ちそうです。
ロックミシンがあれば、かがりながら縫えてサクッと仕上がるので、ロックミシン、おすすめです。
10月ももう終わりなのでこれからハロウィン衣装にとりかかります。
型紙はできているので裁断して縫うだけ!でもまたニット生地なのでうまくいくかはわかりません…笑